レアチーズケーキ

最近のマイブームは『ケーキ作り』だ。今まで料理は好きだったが、ケーキやクッキーなどのお菓子作りには興味がなかった。作ったことのあるデザートといえば、ハウス食品の「フルーチェ」や「ゼリエース」など、混ぜて冷やすだけの手間いらず、失敗なしのカンタンデザートだけだ。
もともと甘いものがそれほど好きな方ではないこともあるが、それよりもお菓子作りって手間がかかりそうだし、分量や手順を間違えるとあからさまに失敗作となるし、甘いものは沢山食べられないなどの理由から、作る気がまるで起こらなかった。クッキーやケーキを焼いたなんて話を聞くだけで、尊敬にも似た気持ちを抱いたものだ。
 そんな私がケーキ作りに挑戦するきっかけとなったのは夫だった。結婚して初めてのバレンタインデーに、チョコの代わりに夫の好物のレアチーズケーキを作った。夫もあまり甘いものを食べない。チョコレートをもらってもあまり嬉しくない様子だったので、だったら喜ばれるものがいいと思い立って作ることにしたのだ。

早速、レシピをネットで調べて材料やケーキ型をそろえた。どのレシピにも「混ぜて冷やすだけのカンタンデザート」と書いてある。これならハウスのデザートの延長線で作れそうだ。
クラッカーを砕いて無塩バターを混ぜ、ケーキ型に敷き詰める。クリームチーズ、ヨーグルト、生クリーム、砂糖、レモン汁、ゼラチンなどの材料をレシピ通りに混ぜて型に入れ、冷蔵庫に入れる。
味見の段階ではバッチリだった。なんだ、ホントに混ぜるだけでカンタンじゃないかー。素晴らしい出来上がりを期待しながら3時間待っていた。

ところが・・・・・

固まり具合が・・・微妙。ムースみたいと言えば聞こえはいいが、ふわふわしすぎてそれらしくない。
それにクッキー台が固まっておらず、切り分けるとボロボロ崩れてしまう。なんとか切り分け皿に盛ったが、グニャリとして見た目はいまいち。何ともだらしのないレアチーズケーキになってしまった。
しかも、はじめはおいしいと思ったが、食べ進めていくうちにだんだん胸やけしてきた。生クリームが多すぎてクドいのだ。

  。。。。。いんちきレシピめ!!私は分量通りに作ったのに。。。。。

18cmホール型で作った8人前はあるケーキ。この出来ではおすそわけすることなど到底できない。
仕方がないので、おやつだ食後のデザートだと、毎日少しづつ食べていった。今思い出しても胸やけしそうだ。そうしたら案の定、二人とも太ってしまった。

しかし、こんなことでめげる私ではない。この失敗をふまえて、絶対成功させてやる!!

私の職人魂に火がついた。私の母はケーキ屋に15年勤め、あらゆるケーキを作っているプロだ。ケーキ職人の娘としては、ここで引き下がるわけにはいかない。
母にアドバイスをもらい、再挑戦した。

* 今回の改善点 *

 

  1. ムース状のだらしないレアチーズ→ゼラチンの量を増やす。5g → 8gへ増量。
  2. 生クリームを低脂肪に変え、分量を200ml → 100mlへ減量。
  3. クッキー台が崩れた→クラッカーではなく、バタークッキーに変え、そのうえバターをしっかり加える。さらにココアを加えて念入りに固める。ビターな風味できっとおいしいに違いない!!

 

そして2作目の結果は。。。
レアチーズ部分は成功。しかし今度はクッキー台が固すぎた。

「き、切れない・・・」

ちょとぉ、レアチーズケーキって、『混ぜるだけのカンタンデザート』じゃなかったっけ!?超デリケートで難しいじゃないか!!

それでも私はめげない。ここで作戦変更だ。ケーキ型で作るのはリスクが高い。ならば小さい容器に小分けして、クッキーが固まらなくても困らないようにしてしまおう☆

。。。そして3作目。
ようやくまともなレアチーズケーキになった。やはりクッキーは固まらなかったが、とりあえず今回はおすそわけすることができる。切り分ける必要もないし、冷蔵庫の場所もとらない。今回のチーズケーキは友人たちに味見してもらったところ、なかなか好評だった。夫も「だいぶ慣れてきたね」と言ってくれた。

その後、『米粉のアップルケーキ』や『ベイクドチーズケーキ』を作ったが、どちらも一発でサマになった。もちろん完全に納得いく出来ではなかったが、「初めてにしては成功じゃない?」と夫は褒めてくれた。どうも焼菓子の方が、手間はかかっても私には向いているようだ。

ベイクドチーズケーキは今年のバレンタインデーに作った。一応妊婦ということを考慮して砂糖を控えてみたが、控えすぎて物足りず、私はジャムをつけて食べた(砂糖控えた意味なし・・・)。
しかし夫は気に入ったようでパクパク食べていたが、「やっぱりレアチーズケーキの方が好きだ」と言う。
そこで久しぶりに、しかもケーキ型でレアチーズケーキを作ることにした。

課題は「クッキー台」。今回は「マクビティビスケット」を使った。ココアは使わず、無塩バターのみを50g混ぜた。すると、以前とは明らかに違う手応えがあった。
ケーキ型にクッキーを敷き詰めるとき、ちゃんと粘り気がある。ポロポロせず、しっとりと台に密着している感覚は初めてだった。
「これはいけるかも・・・」淡い期待を胸に、一生懸命クッキーを型に押し込んだ。
あとは今までどおりの分量を混ぜ、型に流し込み冷蔵庫で3時間。

そして・・・・

できた。やっと完成した。これは今までの中で一番上出来だ。
ただ、残念なことに冷えて固まったクリームチーズをなめらかなクリーム状になるまで十分混ぜなかったせいで、ダマになってしまった。それに気付いて裏ごししたのだが、もう遅かった。それだけが心残りだ。

生クリームとかぼちゃの種を飾ったら、本格的な仕上がりになった。なかなかきれいじゃない?

2年越しの成功・・・感無量・・・(泣

いや〜、それにしても、まさか自分がケーキを作れるようになるとは・・・。

思い起こせば中学生のころ、バレンタインデーに好きな男の子のため、チョコレートケーキを作って失敗し、母に作ってもらったケーキを『何食わぬ顔で』渡したことがあったっけ。
あの頃にくらべれば、かなり成長したと言えるだろう。だって失敗しても、夫のためにちゃんと自分で作ってるのだから。
夫としてはありがたメイワクな話かもしれないけど。。。

コメントを残す