今日、友人と食事に行った。彼女と会うのは一年ぶりだ。国際線スチュワーデスをしている彼女は、相変わらずキレイだ。決して派手ではないが、彼女なりのセンスの良さがあり、さりげなく持っているブランドのバックも全く嫌みがない。性格も良く、しっかりしており、女性の私から見ても本当に「いい女」だ。
ふと、彼女の指先に目が留まった。白くて長い指先に、キラキラとラメの入った、淡いピンクのマニキュアが照明に光ってとても綺麗だ。
〈マニキュアはできるだけ塗りなさい。マニキュアをしていないのは、下着を着けていないのと同じこと!〉と、入社当時の社員研修で言われたのだそうだ。
「それは言い過ぎだろ!」 ・・・ 喉まで出かかった、と当時を振り返り、彼女はあきれ顔で言った。「実はマニキュア好きじゃなくて、つけないで仕事してる時もあるよ。凝ってる人は付け爪してネイルアートまでしてる。ま、爪が割れるの防ぐために付け爪してるのもあるけど。私はめんどうだから、ベースコート塗って自分の爪に塗っちゃうけどね。」ちなみに今日のラメ入り、仕事ではNGだとか。休日だけの遊びらしい。
客はスチュワーデスの行動を見ているものだ。美しいものは誰だって興味持つし見ていたくなる。雑誌を配ったり、毛布を渡したり、飲み物を配るとき、やっぱり仕草は気になるし、特に指先には目がいく。「下着に匹敵」とまでは思わないけれど、重要なパーツであることは間違いない。
私はピアノを職業にしているため、学生時代からマニキュアを塗ることはタブーだった。そもそも、爪をのばすこともできない。カチカチ鍵盤に当たってうるさいし、指先が安定せず、弾きにくいからだ。短く切られた爪に、いくらきれいなマニキュアを塗っても美人度半減だ。そのせいか、マニキュアをすることには未だに気恥ずかしさもあり、罪悪感すら覚えてしまう。
そのため、私がきちんとマニキュアを塗ったのは結婚式の時だけだ。いわゆるネイルアートなるものを初体験したのだが、そのときの気持ちの良さは忘れられない。ハンドエステの後、爪をやすりで整えてもらい、甘皮もきれいに取って、かわいいピンクをベースカラーにラインストーンを飾ってもらった。整えられた爪に、きれいなマニキュアを塗ってもらう、いわば女性の特権ともいえるおしゃれに心はときめくのだった。
「最近、女を忘れてるかも・・・」と思ったら、ネイルサロンへ行く、または自分でマニキュアを塗ってみるといいかもしれない。自分の指先が、女性であることを思い出させてくれる。
あ、でもマニキュアが剥げても放置プレイというのは、つけていない時より悲惨に見えるので注意しなければ・・・。