実家に帰る日を迎えました。
電車の中で、はしゃぐ娘とは対照的に、私はとても憂鬱でした。
いざとなると、やっぱり私の中で迷いが出てきて、もやもやした気持ちだったからです。
少し様子が変な私に気づいて母はこういいました。
「やってみてダメなら、すぐやめればいいじゃない。」
実際のところ、断乳は基本的にやり直しがききません。特に私の場合は、5日間もまとまったお休みが取れるなんて、まずないことです。色々な条件をクリアし、ようやく実行にこぎ着けた、この断乳計画。これが最初で最後のチャンス。今回を逃したら、もう次はないと思っていました。でも、ダメならやめてもいい、という言葉は、そのときの私の心を軽くしてくれました。私はつい、深刻に難しく考えてしまいがちなので、そのときばかりはなるべく気楽に考えるようにしました。
そして翌日の朝。
いよいよ断乳決行です。
最後の授乳を終え、うすい紫色の染料を染み込ませた綿棒で、右胸にアンパンマン、左胸にネコを描きました。
意外とうまく描けたので、娘を呼んで
「ほら!おっぱいがアンパンマンとニャーニャになっちゃたよ」
と、得意げに見せました。
娘は喜んで、「アンパンマン!ニャーニャ!」とおっぱいを触ったり抱きついたりして、無邪気に笑っていました。
「もうおっぱい、なくなっちゃったからね、もうバイバイだね」と言うと、案外あっさりおっぱいから離れていきました。
あらら?これはひょっとして、すんなりいけるかも!?
……などという淡い期待は、その日の夕方以降、吹っ飛んでしまいました。
夜、うんと疲れさせてぐったり眠らせようと思い、日中は外遊びをさせました。帰宅途中で、眠くなった娘は案の定、「パイパイ」とぐずり始めました。
午後3時30過ぎに帰宅すると、昼寝をすると言ってベッドに直行しました。
さあ、ここからが戦いです。
いつものようにおっぱいをねだる娘に
「おっぱいはないんだよ、バイバイしたよね」と言って、絵のかいてあるおっぱいを見せて、何度も説得を試みましたが
『絵が描いてあろうが何だろうが、これはおっぱいだ!!ちょうだいよ!!』
とでも言うように、娘は泣きじゃくりました。
あああああ、なんて辛く、切ないんでしょう!!
しかし、ここは心を鬼にしなければ!もう後戻りはできないのです。
ごめん!娘ーーーっ
泣きじゃくる娘をひたすら抱きしめて、「アンパンマンのマーチ」を歌いました。何度も、何度も。ただ、ひたすら呪文のように繰り返しました。このときほど、アンパンマンのマーチの歌詞が切ないと思ったことはありません。あまりの切なさに、涙が出そうでした。
しばらくすると、泣きつかれてようやく眠りについてくれました。おっぱいがないって、こんなに大変なことなのか。。。
断乳、するべきだったのかな???
なんて、早くも後悔していました。
人気の出産内祝いが勢揃い!