医師は問診票に目を通して説明をはじめた。
医師:「お父さんとお母さんが、花粉症・・・ということは、お子さんも何らかのアレルギー体質を受け継いでいる可能性は高いということになります。しかし何が原因かということは、なかなか特定しにくいんです。」
アトピーという言葉に心配の色を隠せない私の心境を察してか、医師は
「アトピー体質といっても症状は軽いですし、成長とともに改善されていくと思いますから、それほど心配することはありません。」と付け加えた。
医師:「ダニやハウスダストのアレルギーは 2、3歳以降でないとまず出ませんから、これはひとまず違うと思います。考えられるのは・・・食べ物ですね。例えば食物アレルギーがあるかどうかを血液を採取して調べてみるのもひとつの方法です。母乳で育てているということですから、お母さんの食べたものに、お子さんのアレルギー反応が出るものがあるかもしれません。」
・・・そう言われたら、血液検査をしてもらわないわけにはいかない。
早く原因をつきとめて、娘の肌をきれいに治してあげたい。その一心で、娘にはかわいそうだが血液検査を受けさせることにした。
そして、肌荒れと発疹の治療のために処方されたのは2種類の軟膏だった。
キンダベート(軽い副腎皮質ホルモン=ステロイド剤)
アンダーム(非副腎皮質ホルモン)
そして
「保湿のために、お手持ちのワセリンを塗っていてください」と言われた。
やはり出された「ステロイド」。なるべく使いたくないというのが本音だ。
思い切って、気になっていたステロイドを使う事の危険性について質問してみた。
医師:「一部の古い医者の中には、ステロイドを使うことは悪だと 必要以上に過敏になっている人たちもいますが、それは至ってナンセンスというものですよ。弱い薬を使ってなかなか治らず、症状が長期化するよりは、ステロイドを使って短期間で治して、だんだん弱い薬に変えて症状を改善させる方が効果的だと私は考えます。要するに、ステロイドも使い方次第なんですよ。」
つまり、毒にも薬にもならないものを使っていても始まらないということだ。
アトピーは、汗や汚れが大敵だという。雑菌が繁殖すると、弱った皮膚から侵入してアレルギー反応を起こすのだそうだ。
医師:「毎日お風呂に入れ、刺激の少ない赤ちゃん用の石鹸などで、患部をよく洗ってあげてください。清潔第一です。そしてお風呂上がりにキンダベートを少量、薄く患部に塗ってください。1日3回程度の使用なら問題ありませんから。アンダームの方は何回塗っても構いません。1週間後、また来てください。使ってみて様子を見ましょう。」
診察を終えると 娘の血液検査のため、ケアルームに通された。
看護婦さんに連れていかれる娘を見送り、私は外のソファで娘を待った。
注射を終えて私の元に戻って来た娘は案の定、泣きじゃくっていた。かわいそうに・・・
「よくがんばったね。エラいエラい」と娘をしばらく抱っこしてなだめ、授乳室でおっぱいを飲ませて娘を落ち着かせた。
検査の結果は1週間後。
何のアレルギーなのかが分かるまで、私は何を食べればいいのだろう?
とりあえず アレルギーを起こしやすいと言われる卵と乳製品と 、一応甘いものも控えてみて、粗食を心がけようと思う。