スリング

最近、スリングが重宝している。
10月から ぼちぼち仕事を始めたのだが、平日のレッスンで誰にも娘を見てもらえない時にはスリングに娘を入れている。生徒が来る前にスリングに入れて寝かしつけてしまえば、スリングに入れたまま座っていても まず起きない。1時間半くらいは何とか持ちこたえる。
日常生活の中でも、ぐずった時にはスリングに入れてやると 大抵はおとなしくなるし、こちらも両手が空くので、家事を中断しなくてすむ。寝かしつけにも一役買っている。
スリングが使えるようになったおかげで、ストレスが軽減したと思う。


スリングは、若い世代のパパママにはおなじみだが、まだまだ一般的ではない。駅や電車では、老若男女問わず、ほとんどの人が振り向き、袋の中を覗いて行く。

この間なんか、すれ違い様におばさんが、ぎょっとした顔で振り返り、
「ちょっと!!あれ見た?今はあんな風なのねーーーー」と大きな声で連れの人に話していた。
遠目には大きなバッグを斜め掛けしているように見える。その中に赤ちゃんが入っていたら、驚くのも当然だろうな。

スリングを初めて見た人たちは、みな一様に「へぇ〜、今はこんな便利なものがあるの、フーン」と感心したように言う。
かく言う私も、スリングのことは義妹夫婦が使っているのを見て初めて知った。子どもを連れているのに、生活感や野暮ったさがなく、むしろかっこ良かった。初めて見た時は私も「へぇ〜、いいなコレ」と思ったものだ。

娘が生まれる少し前に、器用な義妹がスリングを作ってくれた。
出産後、見よう見まねでトライしてみたが、 使い方が悪くてうまくいかない。
後日、義妹に教えてもらったのだが、頭が悪いせいか、いまひとつ理解できなかった。

娘は、そらまめのさやに押し込められたような形で丸まっていた。とても窮屈で苦しそうに見えたが、この窮屈さこそがお腹の中にいた体勢を再現し、赤ちゃんは安心するのだという。
しかし母娘ともども慣れないせいか、スリングに入れると娘は決まって泣き出してしまう。そうなると、こちらも更に慌てるし、ますますうまくいかなくなる。

仕方なくその時は使うのをあきらめ、しばらくはニンナ・ナンナの《はじめてホールド ミルク&スリープ》というものを使っていた。布団を買った時におまけで付いてきたものだ。
これなら普通に寝かせた格好で運べるし、ベッド代わりにもなるから娘を入れたまま気軽に置いておける。使い方も簡単だった。実際、娘もこれに入れていると おとなしく寝ていた。

しかし、これは肩が凝って大変だった。長時間使うのには向かない。娘も丸見えだし、かさばるし、何より見た目が良くない。

ベビーカーはやっぱり一番楽だ。長時間の移動も疲れないし、荷物が多い時にはベビーカーに掛ければカートの役割をしてくれる。買い物に行くときはベビーカーに限る。

しかし「カー」」というだけあって、うっかり前を歩いている人にぶつかり、怪我をさせないとも限らない。
また、混んだ電車やバスでは迷惑になるし、何より階段では使えないので、エレベーターのない駅や階段のある店では非常に不便となる。娘を片手にベビーカーを担いで階段の昇り降りなど、一人ではとても無理だ。

そんなある日、夫の実家へお邪魔することになった。夫は仕事なので私が娘を連れていくことになるのだが、夫の実家の駅にはエレベーターがない。スリングで行くのがベストだったが自信がなく、駅まで迎えにきてもらい、ベビーカーで行く事にした。

ところが、出かけようと外に出ると、あいにく雨が降っていた。レインカバーを持っていない私は、ベビーカー使用を断念せざるを得なかった。

娘を雨から守り、スムーズに移動するには・・・・やっぱりスリングしかないな・・・。

こうなったらやけくそだ。嫌がる娘を無理矢理スリングに押し込んで、傘を片手にズンズン歩き出した。
・・・すると、あんなにぐずっていた娘が泣き止み、おとなしく じっとしているではないか!!
おお〜、意外な展開。

地下鉄に乗り、JRに乗り換える。長い階段も、混んだ車内も難なくクリア。娘はスヤスヤ眠っている。その寝顔を見て「勝った・・・・」と思った。

そして無事、夫の実家に到着した。スリングを使えたことで、すっかり自信がついた。

スリングを使いこなせれば、身軽にどこへでも行ける。両手が空くし、幅広の布のおかげで肩への負担が少ない。ただ、肩がずり落ちてしまうのが難点だ。

今までは、もっぱら揺りかご抱きだったが、最近は首が座ってきたのでカンガルー抱きが出来るようになった。
他にも様々な抱っこがあるらしい。娘の成長にしたがって、新たな使い方をマスターしていきたいと思う。

スリング

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