翌日、FAXしてもらった地図を頼りに、娘をベビーカーに乗せていざオケタニへ。初めて通る道にウキウキしながら15分ほど歩いたところに「桶谷式母乳相談室」の看板が見えた。
想像していたよりずっと新しく、近代的な建物だ。入り口には数台のベビーカーが停めてある。
受付を済ませて中に入ると、そこはまるで保育園のようなにぎやかさだった。
部屋の中央にはおもちゃの箱があり、小さな子どもたちがママがマッサージを受けている間、おもちゃで遊んでいた。そうかと思えば、スタッフが赤ちゃんを抱っこして部屋をウロウロ歩き回っている。静かにおもちゃで遊んでいる子もいれば、ママを探して泣き叫んでいる子もいる。
また、部屋の至る所に置いてあるソファでは、マッサージを受けたママ達が授乳している。その傍らで、スタッフの方々がつきっきりで授乳指導をしていた。
ベッドは個室に1台、広い部屋に4台置いてある。コの字型に木枠で囲まれており、他の人からは見えないように配慮してある。先生が2〜3人、その他、見習いのアシスタントが5人程いた。皆、親切でやさしく、笑顔で接してくれる。明るい雰囲気でとても居心地がよい。
アシスタントが一人ついて、まずは娘の身体測定からだ。今日で2ヶ月と11日。体重:5,712g 身長:58.7cm 頭囲:39.5cm 胸囲:41.5cm。「ずいぶんしっかりしたお子さんですね〜」と言われた。私は自分の娘しか知らないから良く分からないが、プロがそういうのだから本当なのだろう。
細かいカルテ記入が終わるとベッドに通された。上半身裸になり、ベッドに座ってバストのサイズを測った。それから横になり、アシスタントが胸の状態を調べて軽いマッサージを行う。娘は私の横に寝かせたが、すぐに ぐずり始めたため、他のスタッフが娘を抱っこしていてくれた。
実は昨晩、乳頭から脂肪の栓が出たおかげで、しこりは完治していた。しかし、先生によると「かなり溜まっている」という。蒸しタオルで乳房を温めながら、噂のマッサージは行われた。
噂のマッサージは本当に痛くなく、むしろ気持ちのいいものだった。少しマッサージをされただけで、溜まったおっぱいが噴水のように噴き上げる。「こりゃ、すごいね」先生とアシスタントは驚いた様子だった。
「ちょっとこれは出過ぎだよね。こんなに出なくてもいいよ。これじゃ、子どもも立派になるわけだ」と先生は呆れ顔だ。
言われてみれば、娘はおっぱいを飲みながら、急に乳首を離してハァハァ息を荒げたり、むせて泣き出すことが頻繁にある。それは私のおっぱいが出過ぎているせいだったのだ。
例えて言えば、2ℓのペットボトルを自分のペースを上回る勢いでラッパ飲みし続ける状態と同じことだ。
先生:「子どもが大きくなって、飲む量が増えてくればよくなるし、半年もすれば子どもが必要な量のおっぱいが出るように調節されてきますよ。」
それまでは、娘が沢山飲んでくれるように、こちらが質の良いおっぱいを出す努力をするしかないのだ。脂肪分や糖分の多いおっぱいだと、赤ちゃんも腹持ちが良くなって、あまり飲みたがらなくなるようだ。それでうつ乳がどんどん進んで、最悪の場合、乳腺炎になってしまう。
・・・結局は、私が食生活に気を使うほかなさそうだ。