里帰り中の8月下旬、右下奥の歯茎が痛み出した。歯が浮いたような状態が数日続き、次第に歯茎が腫れてきた。食事にも支障をきたすようになり、ついには唾を飲み込むだけでも歯茎に激痛が走るまでになってしまった。
もう我慢の限界。このまま食事もろくにできない状態が続けば、母乳にも影響が出てしまう。東京に戻ってからでは医者にかかるのもままならないので、実家にいるうちに治療を済ませてしまおうと思い、近所の歯科医院に駆け込んだ。
ところがこの歯科医院には、授乳中に出せる化膿止めや痛み止めの薬は置いていなかった。
「薬が使えないとなると、消毒だけになりますから、治るのにはかなり時間がかかります。」と言われてしまった。結局、膿んだ歯茎に薬を塗り込むだけで治療は終わった。
そんな応急処置で患部が良くなる訳もない。それでも薬は飲めないのだから、この痛みが自然に治まるまで仕方ないとあきらめていた。
実家にいるのは あと数日。せめて消毒だけでもしてもらおうと思い、同じ歯医者で2回目の治療を受けた。その頃には痛みは更にひどくなっていた。
ちょっと患部を触るだけで「イタイ!!」と私がしかめっ面をするので、その医師は「これ以上いじれない」とサジを投げ、軽く薬を塗り、ものの1分であっけなく治療を終えた。
しかしその医者は、「授乳中でも飲める薬があるかもしれないから」と 市内の大きな総合病院へ紹介状を書いてくれた。
母によれば、その病院の口腔外科には、腕が良いと評判の先生がいるらしい。母は以前、その医者に診てもらったことがあるらしく、えらく気に入っていた。「あそこの先生はやさしくて丁寧で、腕もいいから、すごく人気があってね。みんな、あの先生に診てもらいたいんだけど、紹介状がないと診てもらえないんだよ、良かったね!」と満足そうに言った。さっそく明日、その医師に診てもらおうと思っていた。
ところがその日の夜、突然ひどい乳腺炎になり、ひと足早くその総合病院に駆け込むこととなった。歯痛と乳腺炎のダブルパンチでノックアウト状態だった。
乳腺炎のために出された抗生剤を飲んだ翌日、なぜか歯痛も和らいでいた。その日の午前中、母に連れられて総合病院の口腔外科を受診した。
右下奥歯のレントゲンを撮り診察してもらった結果、歯痛の原因は親知らずだった。
出産や育児の疲れが溜まり、免疫力が低下したことで、口腔内の菌が悪さをして生えかけている親知らずの歯茎が腫れてしまったようだ。
やはり大きな病院だけあって、授乳中でも服用できる痛み止めと化膿止めを出してもらえた。膿んだ歯茎を消毒してもらったが、手早い治療で全く痛くなかった。なるほど この先生、確かに腕がいい。応対も説明も大変丁寧で感じがよく、人気があるのもうなづける。
「この親知らずを抜いた方がいいですね。」と、その先生は言った。「授乳中の麻酔は問題ないんですけど、抜いた後に使う化膿止めや痛み止めが使えないんですね。術後、かなり痛みますから強めの薬を使いますし、服用期間も長くなるので、授乳中だと難しいんですよ。抜くなら、離乳食が始まってからの方がいいでしょう」
下あごの親知らずは、あごの骨とくっついており、スポッと簡単には抜けないらしい。歯茎を切開し、歯を分断して抜くという、大掛かりな手術になるのだそうだ。以前、近所の歯科医院で上あごの親知らずを抜いたが、麻酔をしているにもかかわらず、思った以上に痛くて、術後ヨレヨレになった経験がある。それより大掛かりとなると・・・想像したくないな・・・(汗
さらに先生は「抜くなら、30代前半の方がいいですよ。」と付け加えた。
つまり、体力と回復力の衰えないうちに抜いておきなさい、そのくらい大変な手術ですから、ということか!?。。。なんかもう、痛いことばっかりだなー。。。。(泣
そんなこんなで治療を終えて、次回の予約を取った。本当は 8月末の一ヶ月検診に合わせて東京に戻る予定だったが、乳腺炎と歯痛が落ち着くまで治療を続けた方がいいという母の強い勧めもあり、9月中旬まで延期することにした。
私は妊娠中、忙しさにかまけて歯医者に行かなかった、実は歯磨きの仕方を指導されている最中で、歯周病の治療をしていたが、面倒になって行かなくなってしまったのだ。きちんと治して、正しいブラッシングを続けていれば、こんなことにはならなかったかもしれない。激しく後悔だ。
出産前に、歯医者にはきちんと通って治療を終わらせておくのが賢明だ。生まれてからでは外出もままならないし、何より育児に影響が出てしまう。
「歯って大切だよなぁ〜」と、痛感した出来事だった。