我が子は昼間は比較的静かに寝ており、夜になると目がぱっちり冴えて活動を始める。このパターンは陣痛そのものだった。
「陣痛が夜にしか来ず、なかなかお産が進まなかったのも、この子が夜型タイプだからだろうか・・・」などとぼんやり考えながら、夜中のデイルームで授乳する毎日。そうこうしているうちに朝がきて、1日は飛ぶように過ぎ、あっという間に夜を迎える。
そんな入院生活の中、唯一の楽しみは夫の面会だった。仕事を終えて疲れていても、遅い時間にもかかわらず毎日面会に来てくれた。
面会時間外は、部屋ではなくデイルームでの面会となる。夜8時半、夫のメールが来るのを今か今かと待ちながらベッドの上でそわそわしている。そして到着メールが届くと、いそいそと子どもを連れて部屋を出る。
親子3人で過ごす30分足らずのこの時間が、何よりも幸せを実感するひとときだった。夫が優しいまなざしで子どもと触れ合う姿を見ていると、張りつめていた何かがスーッと解けていく。
この子を産んで良かった・・・と心から思う瞬間だ。退院の日が待ち遠しい。
入院中、廊下で見知らぬ助産師さんからたびたび声を掛けられた。
「子宮口が開かなくてお産が大変だった妊婦さん」として助産師さんたちに認知されていたらしく、私の顔を見て「あ!!」と立ち止まり、「無事に生まれたんだ、よかったね〜!」と喜んでくれる。
そして
「赤ちゃん、よく泣く子なんだってね〜」って。。。
・・・なんでそんなことまで広まっているのだろう、実習中の学生さんが付いてくれているせいだろうか・・・?
確かに、うちの子はよく泣く。
夜中に子どもを連れて病棟内を徘徊したり、赤ちゃんをナースステーションに預けるお母さんのメンバーは決まっており、私はそのうちの一人だった。
我が子は本当に泣き虫で、私がトイレやシャワーのためにナースステーションに預け、用を終えて迎えに行くと、決まって大泣きしていた。
小さな丸い顔を真っ赤にしながら涙を流して泣き叫ぶ姿は、まるでプチトマトのようだった。泣かれると困ってしまうのだけど、同時にその泣き顔が愛おしくてたまらない。
それに「大泣きする=元気」ということだ。私はよく泣くことのできる我が子の元気さに密かに満足している。元気が一番!いくら容姿やお金や才能や人に恵まれていても、健康でなければ始まらないのだから。
この子が元気にすくすく育ってくれますように・・・