娘の成長 〜三輪車編〜

三輪車を買ったのは、娘が2歳のクリスマスだった。
今の三輪車は、舵取り機能付き、折りたたみ収納で、狭い玄関でもコンパクトに置けるよう配慮されている。舵取り機能を使う際には、まだ足が追いつかない子の事を考慮して、ペダルが動かないようにもできるという優れものだ。かつて、自分が幼い頃に乗り回していた三輪車のイメージとは、まるで違う。三輪車も、時代とともに進化しているのだと感心したものだ。

アイデス コンポ 三輪車

 舵取り機能がついているおかげで、自分でペダルをこがなくても三輪車に乗って遊べるので、娘もえらく気に入って、しばらくはどこへ行くにも「さんりんしゃでいくー」と言っていた。三輪車で新宿の街を闊歩したり、そのまま山手線に乗って出かけたこともある。

そうこうしているうちに、娘は3歳を迎えた。もうそろそろ、自分でペダルをこいで乗れるようになってもいいだろうと思い、こぎ方を教え続けていたが、娘はちっともコツがつかめない様子で、すぐに止まってしまう。間もなく「ねーおしてー」とか「もーつかれた」とダダをこね始め、仕方なくまた後ろから舵取りのバーを押してやるといった状態がしばらく続いた。そのうち娘も、自分ではこげない三輪車に飽きてきたのか、乗りたいと言わなくなってしまった。

そんなある日、あれは3歳2ヶ月頃だったか、久しぶりに三輪車の練習をさせようと思い、娘と二人、図書館まで三輪車ででかけた。道々、娘に練習させていたが、相変わらず平行線。どうしたら分かるのだろう?と考えていたところに、後ろから自転車に乗ったおばさんが私たちを追い越していった。

「・・・あ、これだ☆」私はとっさに閃いた。

「見て!!あのおばさんにみたいにペダルをこぐんだよ!」と娘に訴えた。娘はおばさんが自転車をこぐ後ろ姿をじーーーーーーーーーっと見つめていた。そして、次の瞬間、娘は突然、自分でペダルをこぎ始めたのだ!!

娘:「みてー!○○ちゃん、おばさんみたいだよ!」

娘は嬉しそうにおばさんの真似をして、ペダルをこいでどんどん進んでいくではないか!ついに娘は「ペダルをこぐ」ということを理解したのだ。自転車に乗って通り過ぎていった見知らぬおばさんのおかげで…。

考えてみたら、娘の身近で三輪車に乗って遊んでいる子がいなかったし、ウチには自転車がないから、誰かがペダルをこいでいる姿を見た事もなかった。こんな小さな子どもに、言葉で一生懸命説明したって、伝わるわけがなかったのだ。子どもというものは理屈じゃなく、見よう見まねで憶えるのだ。これぞ、まさに「百聞は一見にしかず」の典型的な例である。

三輪車

それ以来、娘はすっかりコツをつかみ、今ではハンドル操作もマスターし、スイスイ三輪車に乗っている。ずっと乗れないままなのではないかと心配していたので、乗れるようになってくれて一安心だ。大げさだと思われるかもしれないが、運動音痴な私の血を受け継いでいる娘だけに、運動に関しては本当に心配なのだ。娘には、私のような苦労はさせたくない。
今のところ、運動は得意ではなさそうだが、私ほど下手でもなさそうだ。夫曰く、「スポーツはコツさえ分かれば人並みにはなるから大丈夫」と豪語しているので、夫に任せて見守ろうと思っている。

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