おじいちゃん

夫の実家に、久しぶりに遊びにいったときの話。その日はいとこ(男子・5歳)と一緒におじいちゃんの家で遊んでいた。娘が持っていた折り紙で遊ぶ事になり、いとこの希望で夫がキリンを作ってあげた。それを見た娘は、『それ、○○ちゃんの!!』とダダをこねはじめた。もちろん、いとこは譲らない。「同じのを新しく作るから」と言ってもダメ、パンダを作ってもゾウを作っても、気に入らない。『いとこのキリン』がいいと言って聞かないのだ。

母:「これは、もともといとこ君のだよ。わがまま言わないで」
娘:「いやーーーーっ!!だって、それは○○ちゃんのだから!!」

号泣しながら、訴える娘。何度説得してもダメ。治まるどころか、いよいよ泣き声は激しくなる。夫もおばあちゃんも困り果て、お手上げ状態。私は堪忍袋の緒が切れる寸前になり、つい強い口調で叱ってしまう。もう遅い時間になっていたので、混乱の中、いとこはキリンを持って家に帰ってしまった。

こうして平行線が続いていた、そんな時。
となりの部屋でテレビを見ていたおじいちゃんが、リビングにやってきた。

おじいちゃん:『○○ちゃん、どうしたの。何を泣いてるの?』
娘:『いとこ、、、が、、、○○ちゃんのキリンなのに、、、くれない、から、、、』

娘はすすりながら、涙で顔をぐちゃぐちゃにして、おじいちゃんにすがった。
どうするのかな?と思い、私は静かに見守ることにした。すると、意外な言葉をかけた。

おじいちゃん:『そーか、わかった。○○のキリンなのにね。それじゃ、あとでおじいちゃんがいとこをコラって叱ってやる!!』

なんと、娘の味方になってくれたのだ。

すると、たちまち娘は落ち着き、うん、うんと頷いて泣き止んだ。気持ちを理解してくれて、娘は嬉しかったのだろう。じっとおじいちゃんのひざに座って、しばらくおじいちゃんから離れなかった。
このシーンは、私もグッときて思わず目頭が熱くなった。

もちろん、いとこは悪くない。間違っているのは娘の方だ。親としては、やはり娘のわがままを許すわけにはいかない。私はおじいちゃんと同じ台詞は言えないし、思いつきもしなかった。
もちろん、おじいちゃんだって、いとこが悪くないことも知っている。だけど…こういう寄り添い方ができるのは、やはり祖父母の立場ならではだと思う。

それ以来、娘は以前よりもっとおじいちゃんが好きになったようだ。

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