長女の6年間

先日、長女が小学校を卒業した。
この6年間で、肉体的にも大きく立派に成長しただけでなく、性格も図太くズケズケと物を言い、人間関係のわずらわしさをうまくかわせる処世術を身に着けるまでに成長した。
プライドが高く、人より劣っていることが嫌いなので、良い成績を取りたい、取らなきゃと本気で思うらしく、勉強も自分からやる。

家では次女のわがままのせいで我慢を強いられる場面が多く、その恨みもあってか次女に対してとても厳しい。「そんな点数、お姉ちゃんは取ったことがない。」とか、「お前はバカだ」「のろい」とか、しょっちゅう罵っている。
その影響か、近頃の次女は「わたし、バカだからね」と自分で普通に言うようになってしまった。親が「そんなことない!」と全力で否定しても、姉の影響力は大きく、次女は無意識のうちに自分を卑下する癖がついてしまっている。これではいけない。

先日、卒業式と終業式を終えて、二人は通知表を持ち帰ってきた。
資料の整理ついでにふと「長女の2年生の頃の成績は、次女と比べて実際どうだったのだろう」と思い立ち、長女の6年間の通知表を振り返ってみることにした。

その結果、『1、2年生までの成績は同じくらい、むしろ次女の方が成績が良い』ことが判明した。もちろん、担任が違うので評価基準にも差があり単純には言えないにしても、そう大きな違いがなかった。これではっきり「次女はバカではない」と証明してあげられる。
ただし、この事実は長女には伏せておこうと思う。「どうせ私なんて」と、いじけ始めるのが目に見えているから。

成績より興味深かったのは、先生方のコメントだった。それを読んでいたら、6年間の思い出が次々とリアルに蘇ってきた。
そこで長女の6年間を大雑把に振り返り、書き留めておくことにする。

1,2年生の頃までは、まだうじうじしていて言いたいことも言えないような所があった。
友達に仲間外れにされて寂しい思いをしていたこと、学校であった嫌な出来事や悩みをお風呂で毎日のように話していた。
一緒にいる友達がいなくて休み時間を持て余し、育てていたトマトの世話をして時間を潰していただけなのに、先生にその姿を熱心だと勘違いされ、通知表で褒められるという不本意なエピソードもあった。
ある日、思い切って「いやだ」と意地悪な友達に言ってみたら、相手が黙って引いたことがあった。それが長女にとって、初めての成功体験?だったかもしれない。
これがきっかけで長女は次第に強くなり始めた。

勉強は、ほぼ放置状態だった。ただ宿題をこなすのみで、親は最低限の確認しかしなかった。放っておいても宿題は自分できちんとやる子だったので、そういう意味ではしっかりした子だったと思う。先生に叱られることをとても気にしていて、ノートが学校指定の同じものでないと、とても心配するような神経質な所があった。

3年生から急に成績が伸び始めた。
このころから夫がアイフォンを渡したため、ゲームに夢中になり一番ハマっていた時期だ。
良い成績を取れなかったり、就寝時間を守らなかったらアイフォンを使わせない、という条件を課したことが功を奏してか、必然的に勉強を頑張るようになった。

ゲームが大好きな長女は、男子との方が気が合い、よく遊ぶようになった。
3,4年の頃は男子の友達がよく家に来て、ゲームをして遊んでいた。
オシャレや可愛いもの、人の噂話が好きな女子とは全く反りが合わず、一部の女子に「男子の味方」として扱われて悪口を言われたり避けられていた時期もあったようだ。
しかし本人は、それに気づきもせず、2年後くらいにその事実を知ったくらい鈍感だったことは不幸中の幸いだった。

男子の集団にひとり混ざって、ゲームに明け暮れる毎日だったが、それでも男子と女子との壁は存在し、やがて男子とのケンカも多くなり始める。
生傷が絶えなかったし、クラスで号泣しながら男子と口論になり、先生に仲裁に入ってもらったこともあった。
このときから、意志表示をしっかりして、相手を説得するにはどうしたらよいかを夫に入れ知恵されて、交渉能力がどんどん鍛えられていった。
4年の終わりになると、次第に男子と遊ぶこともなくなり「私、ボッチだから」が口癖になってしまった。
気の合う友達がいない学校に行くのは、さぞ辛く、つまらなかっただろう。

保育園時代から絵を描くことが大好きな長女は、ボッチなのもあって毎日毎日休み時間にも絵を描くことで自然と画力が磨かれていった。
友達から「絵が上手」と認められるようになって、絵を描いてと頼まれることが増えていった。
絵が描けることは、長女が自信を持ち続けられた一つの理由だと思う。

5年生になると、クラス替えでメンバーが一新した。特に担任の先生は、高学年担任のプロでカリスマ的人気を誇るベテランの先生で、子どもたちはその先生の指導力のおかげでお互いを思いやり認め合うことを学び、一致団結するクラスとなった。
マンガやアニメ好きな気の合う女子の友達もできて、長女の学校生活はこれまでと一転、とても楽しいものとなった。
アニメイトやモンスト物産展に友達と行ったりして、オタク人生の幕開けである。
家に男女問わず友達を連れてきて一緒に料理をしたり、ゲームやおしゃべりを楽しむようになったのも、この頃からである。
(ちなみに私は人生初のPTA役員を経験した年で大変だったけど、充実した1年間でした。)

6年生になると、仲の良い友達が受験勉強を頑張る姿を目の当たりにし、塾にも家庭学習教材もしていない自分は落ちこぼれてしまうのではないかという焦燥感に苛まれていた。
塾で多くを先取りして勉強している子たちに遅れを取らないよう、せめて学校のテストでは良い成績を取りたいと強く思うようになったようで、自分から勉強を進んでするようになった。
つくづく、子どもにとって友達の存在は大きく、影響力は絶大だと思う。

クラス内での話し合いでは、誰もやりたがらないまとめ役を引き受けたり(でも目立つことは嫌い)、そのことで反感を買っても文句を言われても鼻で笑っている。
一方で究極のネガティブ思考なので、家では学校での出来事や愚痴を延々と語り続ける。
物の考え方、価値観、言葉使いなど、言動が日に日に父親そっくりになってきて、愚痴を二人分シャワーのように浴びせられて精神的に私が参ってしまいそうになる日もあるが、話してくれるうちが花だと思って、適当かつ真剣に耳を傾けようと思っている。

あと少しで背も越されそうだし、洋服と靴のサイズは私と同じかちょっと大きめだし、勉強はもう私ではわからないし、口論しても勝てそうもない。
どんどん追い越される様々なことを、眩しそうに目を細めて見守っているだけしかできなくなってきた。
いや、もうどんどん先に進んで「ママは頭悪くて頼りないから、私がしっかりしなきゃ」とでも思ってくれればそれで良い。

長女へ。卒業おめでとう。6年間、本当によくがんばりましたね、お互いに。
これからもどうぞよろしく!

コメントを残す