シラミのはなし Part 1

みなさん、シラミに罹ったことはあるだろうか?
私はかつて一度もなかった。シラミがこんな現代社会に当たり前のようにはびこっているなんて想像もしなかった。

一番最初は長女が4年生の春だったと思う。美容室で髪を切ってもらっていた時に見つかった。「お母さん、ちょっと見て下さい」と突然美容師さんに声をかけられて見ると、長女の耳の後ろの生え際に白い小さなものがびっしりくっついていた。「うわぁ、なんですか、これ」「シラミの卵です。」

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「は?シラミ?え、あのシラミですか?!」初めて見る衝撃的な光景と、「シラミ」という受け入れがたい事実に、すっかり動揺してしまった。「お母さん、ショックですよね。みなさんそんなリアクションです。でもシラミって、珍しくないんですよ。シラミ専用のシャンプーで2日置きに洗って駆除すれば治りますから。それで、卵を見つけたらひとつひとつ爪でしごいて取ったり、専用のすき櫛ですいて取るんです。シラミの卵は髪の毛にしっかりくっついているので、なかなか厄介なんです。卵がふ化する前に全部取り除かないと、ふ化して成虫が卵を産みつけてそれがまたふ化して増え続けるんです」ひえーーーおそろしい!目の前が真っ暗になった。思い起こせば、最近「頭がかゆい」と何度か言っていたっけ…。まさかシラミだったとは気づいてやれず可哀想なことをした。長女を待っている間、「シラミ 駆除」で検索し、様々なブログや対処法を片っ端から読みあさった。
美容師さんがシラミの卵をヘアアイロンで焼いて応急処置をしてくれた。本来ならシラミが見つかった時点で帰らされるはずなのに、親切な対応に感謝だ。

早速薬局に寄り、「スミスリンシャンプー」を2本買った。2日置きに1度シャンプーをして、念のため2本使い切るまで続けるそうだ。1本¥2000以上する高価なものだが仕方ない。
早速その日の夜、シャンプーしてみた。普通にシャンプーをして髪を泡で包んだ状態のままタオルを巻いて5分置き、しっかりすすぐ。このシャンプーには殺虫成分が含まれていて、それによってシラミを駆除するのだ。
家族に移らないように、タオルは共有せず、長女が使ったタオル、シーツ、枕カバー、洋服、下着などはすべて熱湯消毒してから別に洗濯する。もうこの手間がどれだけ大変か。レッスン室用に買ってあった電子ケトルを洗面所に持ち込んで熱湯消毒に使った。持っててよかった電子ケトル。

付属のすき櫛は、長女専用の櫛としては大いに役に立ったが、目が粗くてとても卵をすき取ることはできなかった。

そうこうしているうちに、日に日にシラミは減ってゆき、2週間もしたら卵は見つからなくなった。
幸い家族の誰にも移らず、シラミ騒動は収束を迎えた。
きっと学校の誰かからもらって来たのだと思う。長女によれば、突然坊主頭にしてきた男子や髪を短くしてきた女子が数名いたらしい。みんな人知れずシラミと戦っていたのだろう。

それから数ヶ月経ったある日、これ以上に悲惨なシラミ騒動が我が家に襲いかかるなんて、このとき誰も想像していなかった。

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