出産や育児の あんなコト こんなコト

知命

『知命』

茨木 のり子

他(ほか)のひとがやってきて
この小包みの紐 どうしたら
ほどけるかしらと言う

他のひとがやってきては
こんがらがった糸の束
なんとかしてよ と言う

鋏(はさみ)で切れいと進言(しんげん)するが
肯(がえ)んじない 
仕方なく手伝う もそもそと

生きているよしみに
こういうのが生きてるってことの
おおよそか それにしてもあんまりな

まきこまれ
ふりまわされ
くたびれはてて

ある日 卒然と悟らされる
もしかしたらたぶんそう
沢山のやさしい手が添えられたのだ

一人で処理してきたと思っている
わたくしの幾つかの結節点(けっせつてん)にも
今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで

この詩を、母が読んだらどう思うだろう?

そのほか
2008年12月4日

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