出産や育児の あんなコト こんなコト

最後の地方出張

出張のことを夫に相談した。心配症の夫は、複雑な顔をしていた。明らかに「行かない方がいい」という顔だ。
それでも夫は「心配だけど、同行する先生がいるからまだ安心だ。もしも行くなら、仕事はほとんどその人にまかせるくらいの気持ちで、手を抜いてやることだ」そして「とにかくお義母さんに相談してみたら」と言った。

そこで実家の母に電話し、出血のことと出張のことを話した。
「検診では異常なかったんでしょう?動きすぎただけだと思うよ。同行してくれる人がいるんだし、事情を話して、あまり動けないことを承知してもらいなさい。仕事の途中で、必ず休むようにすれば。あとは、あんたが決めなさい。」と言う。
明らかに「行ったら?」という答えだった。母はたくましい女性だ。
確かに、子宮の異常ではない。無理をせず、ただ顔を見せに行くだけと割り切れば、それほど負担ではない。

悩んだ結果、私は出張へ行くことに決めた。夫に母の言葉を伝えると、意外だという顔をした。母が止めると思っていたのだろうか。夫は何も言わなかった。
そして出張当日。あれから特に変わったことはなく、少々疲れ気味ではあったが早朝の新幹線に乗って無事出張先に着いた。

1時間で2人を同時にレッスンするという強行スケジュールだったが、同行してくれた先生の助けでどうにか1日目をこなすことができた。思いのほか疲れは感じなかった。

宿泊するホテルは、仕事場から徒歩5分の距離だったが、生徒のお母さんが私の身体を気遣って、荷物を持ってホテルまで送ってくれた。
「ホテルの目の前が病院です。私、ここで出産したんですよ。ここの先生の腕は定評ありますから、ご心配なく!」
今まで何度もこのホテルに泊まっていたのに、こんなに大きな病院があったとは知らなかった。
これなら何かあっても安心だ。身重の私を気遣って、いろいろ考えてくださったみなさんの気持ちがありがたく、嬉しかった。

2日目は余裕のあるスケジュールだった。仕事時間としては短かったにもかかわらず、前日の疲れもあって、かなり疲れを感じた。それでも、どうにか無事に2日間の仕事をこなすことができ、ほっとした。

帰りの新幹線は、普通車が満席だったこともあって、グリーン車にした。グリーン車は、+¥4.000だけはあって、さすがに乗り心地が良かった。足を伸ばせるし、座席の後頭部に枕がついていたので、とても楽だった。
ただ、各駅停車に乗ってしまったため、2時間半もかかってしまった。あまりの長旅に、さすがにぐったりしてしまった。

ようやく東京駅に到着。家まではタクシーで帰ることにした。
タクシーに乗っているうちに、だんだん疲れが出て来た。そして乗り物酔いしたのか、胸がムカムカしてきた。

家に着いて、無事に到着したことを出張先の先生、夫、母に連絡し、着替えをしてそのままベッドに横になった。とにかく気持ちが悪い。つわりのような感じだ。

やはり相当疲れていたのだ。気を張っていたので何とか動けていただけだ。それでも出血もなく、赤ちゃんも良く動いている。

赤ちゃん、本当におつかれさま。無事に出張へ行かせてくれて、ありがとう。

妊娠後期
2005年5月12日

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